


たいていのショップにおいて、流木という商材は,少なくとも”そのショップの収益を大きく左右するような主力商品”ではありません。だとすれば、そんな商品のために貴重な陳列棚をいくつも割くワケには行かないのも当然のことで、ほとんどのショップでは、1つの仕入れ先からサイズごとに数本ぐらいずつ仕入れて在庫する・・・というのが普通です。そういう点で考えれば、品揃えという点でも左上の写真のような状態のショップが大半でしょうし、右上の写真のように様々なタイプの流木を陳列しているショップの方が珍しいのかも知れませんね。このような状況ですから、すべてのショップに対して「もっと潤沢に在庫してくれ!」などと要求するのは、正直なところ酷な話なのではないかと思います。
せっかく知識を持つショップを見つけたなら、すぐにでも店員さんに声を掛けて、一緒に選んでもらう方が楽・・・と思いがちですが、残念ながらそれは正しい動きではありません。なぜなら、流木に関する大前提の条件として「流木の活用方法が、店員さんや一般のアクアリストと、我々ザリガニ・キーパーとでは根本から違う」という現実があるからです。基本的な流木の使い方が違う以上、“いい流木”の条件も違えば、その”選別基準”も異なるのが普通だと考えるべきでしょう。しかも、一部のプレコ飼育などを除いては、流木はあくまでも”ディスプレイ・ツール”であり、少なくとも「生体に喰わせる」ために買う・・・なんて発想は出てこようはずがありません。そういう点で考えれば、私たちはショップに出掛けるよりも前の段階で「今回は、こういう目的でこういう流木を欲しい」という”狙い”を明確にしておく必要があります。あくまでシェルター主体で行くのか、それとも”喰わせ”に主眼を置くのかでも、選ぶ流木は自ずと変わってくるからです。こういう部分を何も考えずにショップを訪れ、いきなりそこの店員さんに「どれが一番いいですか?」なんて尋ねたとしても、店員さんだって困ってしまうことでしょうし・・・ね。ですから、実際に店員さんに声を掛けるのは、まだまだ先の段階です。
自分なりに「買うならこれ!」という流木を見つけたら、それを手に、店員さんへ声を掛けてみましょう。その時のイメージとしては「自分の選んだ流木が正しい選択だったかどうかを、店員さんに答え合わせしてもらう」感じです。その際に、ただ「この流木はザリガニ飼育に適していますか?」という問い掛けては不充分です。ザリガニは流木を齧るので、餌用という目的があることも伝えつつ、マングローブ系の広葉樹素材であるかどうか、燻蒸や薬剤処理などがなされていないか、すぐに沈水するか・・・など、できるだけ具体的な事例を挙げながら見解を求めます。店員さん自身、流木自体の知識は豊富であるハズですので、具体的な内容さえ確実に伝えれば、単純な可否だけでなく、たとえば「素材はマングローブなんですが、今回入荷しているこの棚にある木は、沈水させるとタール分がにじみ出ることのある素材ですので、そういう使い方ならばやめた方がいいです。こっちの棚の木なら大丈夫です」など、一般的なショップでは決して得ることのできない詳密で適切な見解を示してくれることでしょう。
流木に関しては、元々深い知識をお持ちのはずですので、こちら側からいろいろな話をして、やり取りを進めて行けば、店員さん側も自ずと「このお客さんは、どのような流木を欲しがっているのか?」ということがわかってきます。そうしたやり取りを行なった上で、ここで初めて「オススメの流木はありますか?」と問うてみるのも有効です。| 今回の記事でご協力をいただいたショップ | |
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AQUARIUM SHOP Breath さん 茨城県つくば市松野木99-38-102 029-836-3293 公式ホームページは・・・こちら |